テーマは『鹿又は猪の絶品創作料理』 – 「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発
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エントリーNo.4
甲信越・関西・四国エリア代表 アートホテル大阪ベイタワー 羽室さん
エゾ鹿のアップルパイ、ショーソン仕立て いの豚のフロマージュテッドジビエのアンサンブル
手前は鹿肉をキャラメリゼしたりんごと合わせ、フィユタージュ(パイ生地)で包み、オーブンで焼き上げたもの。それをソース・ポワヴラード(ジビエ料理でよく使われるコショウを効かせたソース)と合わせた温製のひと品。
奥はイノ豚のフロマージュテッド(頭部を煮凝り状にした料理)は、イノ豚のゼラチン質で仕上げた料理で、間にはフォアグラを挟んでいる。マスタードや花で飾られ、温かい鹿肉の料理に対してこちらは冷製に仕立てられている。
鹿とイノ豚の間には、ワイルドルッコラを使用したビスコの上に葉を模したチュイル(クッキー)を乗せたものが添えられている。
私見
とてもすっきとしてスマートな印象を与えてくれる盛りつけである。エディブルフラワーや葉を模したクッキー、パイ生地には葉脈も模られ統一感のある仕上がりになっている。
エゾ鹿のアップルパイは、改めて鹿肉とフルーツとの相性の良さを認識させてくれる。とても食べ易い料理であると思う。
イノ豚のゼリー寄せは、イヤな臭みやクセが全くなく、とても美味しくいただける。間に挟んである濃厚なフォアグラが料理に深みを与えている。
その間に挟まれたチュイルやビスコは、鹿と猪の二つの料理を良い感じに橋渡し(箸休めとしてピッタリ)をしてくれる。
エントリーNo.5
九州・沖縄エリア代表 フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ 田川さん
猪フィレ肉と胡桃の豚脂包み焼き、香草バジルとフルーツソース
猪フィレ肉を糠と塩麹に漬け込み、低温調理することで柔らかく仕上げている。
マリネされた猪肉で、くるみやピスタチオ、りんごといちごのピュレを包み、さらにそれをクレピネット包み(豚の網脂で包む)して、表面をカリッと焼き上げ、余熱で中まで熱を通している。
ソースにはみじん切りにしたイタリアンパセリやバジルとアンチョビやケッパー、月桃を合わせた沖縄らしい組み合わせで、そこにチュイルがあしらわれている。
また、パイナップルのソースやドラゴンフルーツが飾られている。
私見
食べ応えがあり、しっかりとした肉質の猪肉も糠や塩麹でマリネすることで柔らかく仕上がってる。また、脂の少なさをクレピネット包みすることで補い、旨みをプラスし美味しくいただける。
沖縄をイメージさせるハーブやフルーツを使っているが、控えめすぎる印象を受ける。もっと南国らしく鮮やかな色合いで、目でも楽しめるような料理を期待していた。
沖縄は毎年一回は訪れる私にとって特別な場所である。それだけに期待値も大きかった。沖縄の食堂で提供される料理は豪快で内地の者にとっては目新しいものばかり。思いきり振り切ったような、例えば、今回のテーマ食材の「猪」の“ガラ”を使って「骨汁(豚ガラを使った沖縄料理)」のような料理(ホテルのレストラン向きではないかもしれないが、SDGsの観点から見れば有かも)であっても良かった。
今回の料理コンテストではSDGsがテーマであるが、石垣島でも猪が駆除対象の害獣として扱われていることに驚きを覚えた。今や日本全土での問題であることを改めて認識させられた。