MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール(6)

テーマは『鹿又は猪の絶品創作料理』 – 「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発

BEST CHEF 料理コンクール 鹿又は猪の絶品創作料理

朝からの長丁場、ようやく審査結果の発表です。

まずは、
2月のエントリーにはじまり、全エントリー数〔235名〕の中から、一次、二次審査を通過し、今日の最終審査に進まれた7名のシェフの皆様、たいへんお疲れさまでした。そして、美味しい料理をありがとうございます。また、このような場に参加させていただける機会をいただき、関係者の皆様にはお礼申し上げます。

それでは、結果発表です!

結果発表

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール

優 勝
エントリーNo.4 甲信越・関西・四国エリア代表
アートホテル大阪ベイタワー 羽室さん

エゾ鹿のアップルパイ、ショーソン仕立て いの豚のフロマージュテッドジビエのアンサンブル
甲信越・関西・四国エリア代表 AH大阪BT 羽室さん

【 ⇒料理詳細 】

【 ⇒アートホテル大阪ベイタワー 】


準優勝
エントリーNo.6 かんぽの宿代表(1)
かんぽの宿青梅 大石さん

鹿肉の香薫低温ロースト 東京地酒「澤乃井」古酒と黒酢のエスプーマを添えて
かんぽの宿代表(1) かんぽの宿青梅 大石さん

【 ⇒料理詳細 】

【 ⇒かんぽの宿青梅 】


第三位
エントリーNo.2 東北エリア代表
アートホテル弘前シティ 工藤さん

青森県産にんにくを香らせたエゾ鹿 トゥルトとサラダ ディゴワネーズ
東北エリア代表 アートホテル弘前シティ 工藤さん

【 ⇒料理詳細 】

【 ⇒アートホテル弘前シティ 】


ひとこと

いずれの料理も甲乙付けがたい接戦で、誰が優勝してもおかしくないすばらしい料理でした。

そんな中でも納得のいく結果です。

コンクール概要では、「優勝料理については、優勝者が従事するホテルにて スペシャリティとして提供」となっているのですが、それ以外の料理についても提供できる場を作っていただけることを切に願います。

今回のコンクールに参加して、これからのジビエ料理の可能性を感じました。その一方で、流通量が少なく、認知度が低いため、手に取りにくい(抵抗感)ところがあります。そのため、価格面でも他の精肉には及びません。しかし、その前に、「ジビエ料理用の食肉」として供されるものは、家畜のように管理されたものでなく、あくまでも「野生鳥獣」であるという点です。たとえ捕獲しても現時点では、安全・衛生的に処理をする加工施設が少ないため、販売出来ない野生鳥獣がほとんどです。今後どのように精肉としての価値を高めていくか、多くの課題がありそうです。それでも、近い将来、牛肉や豚肉と肩を並べ食卓を楽しませてくれることを期待しています。

初めてのことで、戸惑いもありましたが、とても楽しいく貴重な時間を過ごさせていただきました。審査を終えた今でも、こんな私がプロの方々の料理を評価する資格があったのかという戸惑いは残りますが、私なりに全力で挑ませていただきました。またこのようなチャンスがあったら、もちろん返事はイエスです。

編集後記

今年の夏はここ数年でも無いような酷暑に襲われそうです。予報では梅雨が短くなるようで、既に水不足の気配が出はじめている地域もあります。さらに、コロナにおける物流、経済の停滞、ロシアとウクライナ問題などなど、全てが負の連鎖に繋がってるように思えます。改め脆弱な世界に生きていることを思い知らされました。

ようやく、気候変動や食料危機など地球規模の問題に対して、人々の意識が向いてきたようです。地球全体が持続不可能という事態になる前に、今から取り組むべきことはたくさんあります。

良い機会です。SDGsの目標と重ね合わせ、今からどう取り組むべきか、行動を起こす時だと思います。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール(5)

テーマは『鹿又は猪の絶品創作料理』 – 「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発

BEST CHEF 料理コンクール 鹿又は猪の絶品創作料理

エントリーメニュー

  1. NO.1
  2. No.2
  3. No.3
  4. No.4
  5. No.5
  6. No.6
  7. No.7

エントリーNo.6
かんぽの宿代表(1) かんぽの宿青梅 大石さん

鹿肉の香薫低温ロースト 東京地酒「澤乃井」古酒と黒酢のエスプーマを添えて
かんぽの宿代表(1) かんぽの宿青梅 大石さん

日本酒とのマリアージュを全面に押し出した料理である。

鹿肉(ロース肉、もも肉)は脱水シートで包み、ひと晩脱水したものを使用し、血抜き処理をするとともに、獣臭さを取り除いている。その肉に焼目をつけた後に、真空・低温料理を施している。さらに軽く燻製をかけて香り付けをしている。

豆腐とマスカルポーネチーズを合わせ、わさび漬けと味噌で味を調えたディップと日本酒の古酒と黒酢を合わせたエスプーマを彩りの野菜と共に添えている。

その料理に東京地酒「澤乃井」の古酒3種類を合わせた。

私見

ふんだんに使われた野菜が彩りよく配置され、細かな細工も施され、目でも楽しませてくれる料理である。

しっかりと下処理された鹿肉は臭みが無く美味しい。また、ほのかに香る燻製の芳ばしさが良いアクセントになっている。

添えられた二種類のディップもそれぞれ違った特徴があり、もちろん肉に合わせても美味しいのだが、たっぷりと盛られた野菜と一緒に食べると止まらなくなる。

ただ一点残念な点がある。日本酒と合わせることを前提としているので、お酒の苦手な人、二十歳未満の人に対してはどうなのか?もちろん、料理だけでも十分に楽しめるのだが、欲を言えば、お酒が飲めない人に対しても気を配って欲しかった。せっかく、澤乃井酒造とコラボしているのだから、例えば、お酒の仕込みに使う水(絶対!軟水の美味しい水である!!)や、それを使った炭酸水や水出しの緑茶などと合わせてもらえたら、より料理を楽しめるのではと思う。

話は逸れるが(下戸のたわごとである)
下戸だって酒の肴は大好きだ。酒の肴はご飯のおかずにもってこい!
ホテル、旅館やレストランで提供される料理にはお酒がセットで当たり前というイメージがある。フレンチやイタリアンのレストランに行くとワインリストが出てくる。和食処へ行けば日本酒のリストが出てくる。ノンアルコール飲料は無いかと尋ねると、ノンアルコールビール(イヤイヤ、ビールの代わりを欲しいのではないのです)。それなら、ウーロン茶や炭酸水、さらにオレンジジュースにコーラ・・・時々、その地のフルーツを使ったジュース・・・そんな程度。気に入らなければ水かお茶でも飲んでおけと言われているようで肩身が狭い(これは言い過ぎだが)。もう少し、下戸が嬉しくなれるような飲み物があっても良いではないかと常々思っている。


エントリーNo.7
かんぽの宿代表(2) かんぽの宿観音寺 鶴見さん

猪肉の冷製のっぺい煮と黒七味サラダ仕立て
<かんぽの宿代表(2) かんぽの宿観音寺 鶴見さん

猪の肩ロース肉を香川の野菜と合わせた料理で、ふんだんに使われる野菜が印象的である。目の前にサーブされたときのインパクトは大きい。

手前は半分に切られたロメインレタスを器として、ニンニクや生姜、醤油等で猪肉に下味をつけたて揚げたものを、水菜やたまねぎ、味噌漬けにしたブルーチーズと合わせている。それに瀬戸内レモンを使ったドレッシングが添えられている。

また、奥の器は冷製ののっぺい煮(野菜などをすまし汁で煮込みとろみをつけた料理)である。昆布とカツオで取ったダシを火にかけ猪肉に火を通してから冷製に仕上げている。そこへ、トマトや車海老などを生わさびと共に彩りよく合わせている。

私見

大胆に盛りつけられた野菜が印象的で、目の前にサーブされた時のインパクトは大きく、思わず声が出てしまった。

ロメインレタス、ブルーチーズ、そして猪肉を合わせて食べるととても美味しいのだが、少々食べづらい。ナイフでガシガシと切りながらガバッといかないとこのサラダの良さが味わえない感じがする。

のっぺい煮の味付けは上品で、ツルンとした口当たりが心地よい。

この料理は、猪肉を味わうというよりは、たっぷりの野菜を楽しむものというイメージがしてしまう。


いよいよ、審査結果の発表です ⇒

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール(4)

テーマは『鹿又は猪の絶品創作料理』 – 「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発

BEST CHEF 料理コンクール 鹿又は猪の絶品創作料理

エントリーメニュー

  1. NO.1
  2. No.2
  3. No.3
  4. No.4
  5. No.5
  6. No.6
  7. No.7

エントリーNo.4
甲信越・関西・四国エリア代表 アートホテル大阪ベイタワー 羽室さん

エゾ鹿のアップルパイ、ショーソン仕立て いの豚のフロマージュテッドジビエのアンサンブル
甲信越・関西・四国エリア代表 AH大阪BT 羽室さん

手前は鹿肉をキャラメリゼしたりんごと合わせ、フィユタージュ(パイ生地)で包み、オーブンで焼き上げたもの。それをソース・ポワヴラード(ジビエ料理でよく使われるコショウを効かせたソース)と合わせた温製のひと品。

奥はイノ豚のフロマージュテッド(頭部を煮凝り状にした料理)は、イノ豚のゼラチン質で仕上げた料理で、間にはフォアグラを挟んでいる。マスタードや花で飾られ、温かい鹿肉の料理に対してこちらは冷製に仕立てられている。

鹿とイノ豚の間には、ワイルドルッコラを使用したビスコの上に葉を模したチュイル(クッキー)を乗せたものが添えられている。

私見

とてもすっきとしてスマートな印象を与えてくれる盛りつけである。エディブルフラワーや葉を模したクッキー、パイ生地には葉脈も模られ統一感のある仕上がりになっている。

エゾ鹿のアップルパイは、改めて鹿肉とフルーツとの相性の良さを認識させてくれる。とても食べ易い料理であると思う。

イノ豚のゼリー寄せは、イヤな臭みやクセが全くなく、とても美味しくいただける。間に挟んである濃厚なフォアグラが料理に深みを与えている。

その間に挟まれたチュイルやビスコは、鹿と猪の二つの料理を良い感じに橋渡し(箸休めとしてピッタリ)をしてくれる。


エントリーNo.5
九州・沖縄エリア代表 フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ 田川さん

猪フィレ肉と胡桃の豚脂包み焼き、香草バジルとフルーツソース
九州・沖縄エリア代表 フサキビーチリゾート ホテル&ヴィラズ 田川さん

猪フィレ肉を糠と塩麹に漬け込み、低温調理することで柔らかく仕上げている。

マリネされた猪肉で、くるみやピスタチオ、りんごといちごのピュレを包み、さらにそれをクレピネット包み(豚の網脂で包む)して、表面をカリッと焼き上げ、余熱で中まで熱を通している。

ソースにはみじん切りにしたイタリアンパセリやバジルとアンチョビやケッパー、月桃を合わせた沖縄らしい組み合わせで、そこにチュイルがあしらわれている。

また、パイナップルのソースやドラゴンフルーツが飾られている。

私見

食べ応えがあり、しっかりとした肉質の猪肉も糠や塩麹でマリネすることで柔らかく仕上がってる。また、脂の少なさをクレピネット包みすることで補い、旨みをプラスし美味しくいただける。

沖縄をイメージさせるハーブやフルーツを使っているが、控えめすぎる印象を受ける。もっと南国らしく鮮やかな色合いで、目でも楽しめるような料理を期待していた。

沖縄は毎年一回は訪れる私にとって特別な場所である。それだけに期待値も大きかった。沖縄の食堂で提供される料理は豪快で内地の者にとっては目新しいものばかり。思いきり振り切ったような、例えば、今回のテーマ食材の「猪」の“ガラ”を使って「骨汁(豚ガラを使った沖縄料理)」のような料理(ホテルのレストラン向きではないかもしれないが、SDGsの観点から見れば有かも)であっても良かった。

今回の料理コンテストではSDGsがテーマであるが、石垣島でも猪が駆除対象の害獣として扱われていることに驚きを覚えた。今や日本全土での問題であることを改めて認識させられた。


エントリーNo.6, No.7 に続く ⇒

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール(3)

テーマは『鹿又は猪の絶品創作料理』 – 「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発

BEST CHEF 料理コンクール 鹿又は猪の絶品創作料理

エントリーメニュー

  1. NO.1
  2. No.2
  3. No.3
  4. No.4
  5. No.5
  6. No.6
  7. No.7

エントリーNo.2
東北エリア代表 アートホテル弘前シティ 工藤さん

青森県産にんにくを香らせたエゾ鹿 トゥルトとサラダ ディゴワネーズ
東北エリア代表 アートホテル弘前シティ 工藤さん

「ディゴワネーズ」と言われるように、お皿の上に「モネの庭」を表現したひと品である。

手前はエゾ鹿のトゥルト(タルト)で、エゾ鹿と合わせる食材はフォアグラと青森を代表するニンニク(熟成ニンニクいわゆる黒ニンニク)。それをフィユタージュ(パイ生地)で包みオーブンで焼き上げたもの。そこに、ポワブラードソース(黒胡椒、赤ワインビネガーやフルーツを使ったもので、ジビエに定番のソースである)を添えている。

また、その奥にはエゾ鹿のサラダを置き、柔らかくローストした鹿肉を野菜、花、ハーブをふんだんに使い彩りよく盛りつけている。

私見

その名の通り、お皿の上に絵をかいたような華やかさに目を奪われる。半分に切ったトゥルトと下に引かれたソースが食欲をかきたてる。

エゾ鹿とフォアグラの組み合わせは卑怯だ。絶対に美味しいに決まっている。一緒に合わせている黒ニンニクの甘味、旨味、酸味が料理によりコクを足している。健康食品としてでしか知らなかった黒ニンニクが肉料理とこんなに合うなんて驚きです。

ローストした鹿肉とハーブとの相性も良く、爽やかでありながら食べ応えのあるひと品に仕上がっている。これ大好きです!


エントリーNo.3
関東エリア代表 アートホテル日暮里ラングウッド 松島さん

シカのロースト ~火鍋スタイル~
関東エリア代表 AH日暮里L 松島さん

中華料理で話題の「火鍋」をイメージした料理である。

シカのロース肉に下味として五香粉を使い、低温調理をする。それを、火鍋に使われる香辛料、調味料をパン粉と共に炒め合わせ、シカ肉にまとわせて仕上げている。お皿の上下に白と黒のソースをあしらい、二種類のスープを楽しむ火鍋が表現されている。

また、シカ肉には台湾から取り寄せた高山豆苗が添えられている。

私見

ダーク系の皿の中央に存在感のあるシカ肉が置かれ、見た目にもどうだと言わんばかりの高級感を漂わせている。

厚みのあるシカ肉ではあるが、低温調理されているため柔らかくジューシーな仕上がりになっている。まとわせた調味料も芳ばしく香りでも楽しませてくれる料理だ。

欲を言えば、火鍋というだけにもっとガツンとくるぐらいなパンチがあっても良いと思う。そこに物足りなさを感じる。

シカ肉に添えられた高山豆苗が美味すぎる!歯応えと香りが最高で、シカ肉が霞むほどだ。これだけで十分に主役になれる食材だ。


エントリーNo.4, No.5 に続く ⇒

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール(2)

テーマは『鹿又は猪の絶品創作料理』 – 「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発

BEST CHEF 料理コンクール 鹿又は猪の絶品創作料理

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール ⇒ エントリーメニュー

審査がはじまり、まずは調理場(洋食厨房・和食厨房)へ。

ホテルの調理場に入るのは初めて。エレーベーターで地下の調理場へ移動。

広い調理場!さすが大人数分の調理を行うこともあり調理器具、調理器機、調理台、材料棚等々が整然と置かれている。調理する人の動きにも無駄が無く惚れ惚れする。

実際に触れて使ってみたいような器機もたくさんある。

その様子を見ていると、旅先のホテルで提供される料理はこうして作られているんだな~と改めて感心させられる。

プロの技をずーっと見ていたいのは山々だが、時間に限りがあるため二つ(洋食、和食)の厨房を足早に回り会場へ戻る。

いよいよ、次は、料理審査です。

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール

準備が整うまで少し時間があるが、なんだかワクワクしてくる。

他の審査員方々とエントリーシートを眺めながら、料理の素材や調理法について、ああでもないこうでもないと盛り上がる。

どんな料理が現れるのか!

その時が待ち遠しい。

改めて審査項目をおさらいしておこう。

  • スペシャリティ感
  • 印象
  • 味付け
  • 提供方法
  • 素材
  • 調理法
  • 全体感

エントリーメニュー

  1. NO.1
  2. No.2
  3. No.3
  4. No.4
  5. No.5
  6. No.6
  7. No.7

エントリーNo.1
北海道エリア代表 マイステイズプレミア札幌パーク 加藤さん

蝦夷鹿ロース肉のオスとメスの2種類スタイル ショコラ・サ・レのアクセント 赤ワインとアロニアのソース 百合根と蕪のピュレ添え
北海道エリア代表 MSP札幌パーク 加藤さん

すっきりとした盛りつけのこのひと皿には「前菜からデザートまで」コース料理のすべてが詰まっている。

手前のロール状に巻かれた料理はメスの鹿肉を使い冷製仕立てにしてある。パサつき感のあるメスの鹿肉を美味しく食べられるように工夫が凝らされている。

肉はひと晩、真空マリネされしっとりと仕上げられている。その肉をスライスし野菜と一緒に巻き百合根と蕪のピュレが添えられている。

奥の四角にカットされた肉はオスのシカ肉を使い温製に仕立てられている。メスの肉質と比べて硬いオス肉をいかに柔らかく仕上げるかがポイントで、低温のオーブンでじっくりと火入れがされている。そこにアロニア(北米産のベリーで日本では北海道が一大産地、アントシアニンが豊富であるが渋味が強いので加工に手間がかかる)のソースを添えている。

私見

メス肉の料理は上に乗せたクルミが良いアクセントで百合根と蕪のピュレと良く合い私の好きな味だ。オス肉の料理は食べ応えがあり野性味が感じられ、きっと赤ワインとの相性も良いだろう。雄雌の肉質の違い・味の違いを感じ取ることができ、鹿肉をはじめて口にする人にとって良い料理だと思う。

印象として、すっきりと洗練された感がある一方、最初にテーブルにサーブされたときの驚きが少なかった。メインディッシュとしてよりも前菜として、鹿肉の肉質の違いや味の違いをひと口で食べ比べられる料理に感じてしまった。私はメインディッシュにはインパクトが欲しいと思うタイプである。

このコンクールで最初に食べる料理であり、これが基準となってくる。

難しい審査になりそうな予感がする。


エントリーNo.2, No.3 に続く ⇒

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール(1)

テーマは『鹿又は猪の絶品創作料理』 – 「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発

BEST CHEF 料理コンクール 鹿又は猪の絶品創作料理

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール ⇒ 最終審査概要

関東は梅雨真っ只中。ここ数日、気温、湿度共に高く、とても不快だ。既に、梅雨が明けたような陽気がやってきている。

この夏は様々な事情から供給電力がひっ迫し、大規模停電発生の危機もあるとか。政府からは節電要請も出ている。ムダな電気は使わないようにと心掛けているが、梅雨明け前にこの暑さ。これからエアコンはフル稼働しそうだ(>_<)


この夏の節電も大切だが、その前に知っておかなければならないことがある。これからこの地球上で我々が人間らしく生き続けるために『SDGs』という世界基準の大きな目標が掲げられた。

SDGs:「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」17の世界的目標を達成するための様々な基準、指標である。

ここ数年、「SDGs」について、多くのメディアでも取り上げられることもあって、その中身はともかく、ワードの認知度はだいぶ上がってきているようだ。

個人的には、もう手遅れだろうという思いもかすめるが、尻に火が付いている以上、何もしないでただ燃え広がるのを傍観しているのも無責任かもしれない・・・今は奇跡を信じたい。

そんな今、「SDGsな食」をテーマにした企画に関わることができるチャンスをいただいた。


その前に

いよいよ審査となるが、その前になぜ素人の私がこの場にいるのかを説明しておこう。

確か1,2ヵ月前?のことになるのだが、メルマガ会員であった私のもとに一通のメールが届いた。今回の料理コンクールの外部審査員募集の案内である。

コンクールのテーマは「SDGsな食」しかも「ジビエ」である。

もともと「ジビエ」には興味があり全く抵抗はなかった。というのも、昔、私の叔父が猟をしており、小さい頃からキジやカモといった野鳥を食べる機会には大いに恵まれていた。また、鹿肉も時々口にしていた。今では「ジビエ」と洒落た呼び方がされているが、そんな「ジビエ」という言葉を知る前からのことである。

そんなこともあり、深く考えもせず、その案内に早速応募することにした。

すると・・・実は外部審査員に応募したことをすっかり忘れていた・・・6月に入ってすぐ、主催者(MYSTAYS HOTEL MANAGEMENT)の担当の方より「6月20日に行われる料理コンクール最終審査の外部審査員としての出席依頼」の旨の連絡が入った。

もちろん「お受けします」!

・・・二つ返事で応えたものの・・・その日が近づくにつれ、私でよかったのかと不安が脳裏をかすめる(^^;

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクールの概要

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクールの概要

「SDGsな食」ジビエの消費拡大を通じたサステナブルフードの開発

ジビエの食肉利用は、獣害の防止だけでなく、農林業者・猟師の活動支援、里山・森林の環境保全、外食産業の活性化等、 様々な地域課題の解決につながることが期待されています。 今回のテーマである「SDGsな食」では、ジビエの食肉利用を通じた地域課題の解決可能性に着目し、ジビエの活用促進のきっか けとして、本当の意味で美味しいジビエ(鹿・猪)料理の開発を目指します。

  • 若手調理スタッフの技術向上に 普段、調理する機会が少ないジビエ。ジビエの良さを引き立たせる ための調理技術の修練の場、新しいチャレンジの機会とします。
  • 日本の食問題についてグループ全体が考えるきっかけに 日本人にとって馴染みが薄いジビエ。最高の料理を提供することで、 ジビエに対する世間のイメージを変えるだけでなく、料理コンクールを 通じて、日本の食問題を考える機会を創出します。

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール資料りょり

 ⇒ MYSTAYS HOTEL MANAGEMENT

コンクール出場者

MHM 2022 BEST CHEF 料理コンクール 出場者

コンクール決勝 最終審査 出場者:7名(全エントリー数:235名→2次審査進出:43名)

  • 北海道エリア代表 MSP札幌パーク 加藤さん(洋食・パティシエ)
  • 東北エリア代表 AH弘前シティ 工藤さん(洋食・パティシエ)
  • 関東エリア代表 AH日暮里L 松島さん(中華)
  • 甲信越・関西・四国エリア代表 AH大阪BT 羽室さん(洋食)
  • 九州・沖縄エリア代表 フサキBR 田川さん(和食)
  • かんぽの宿代表 かんぽの宿青梅 大石さん(和食)
  • かんぽの宿代表 かんぽの宿観音寺 鶴見さん(和食)

審査方法・審査項目

最終審査は外部審査員5名(MHMメルマガ会員、かんぽの宿会員)と内部審査員5名(会長、社長、取締役、執行役員)の合計10名による審査(調理、プレゼンテーション、試食、質疑応答)となる。

正直に申し上げます。今更ですが、日が近づくに従って「怖い」少々震えました。だって、素人の私がプロの料理を評価するんですよ。

料理の第一印象とその味が好きか嫌いかで判断するしかない。

後の記事では、それぞれの料理について一丁前に語っていますが、あくまでも私個人の意見であることを承知ください。

覚悟を決めました!本気で挑みます!!

審査方法

  • 7項(10項目)に基づき審査を行い、各項目10点、計100点で採点
  • 試食とプレゼンテーション(調理場も含む)にて審査

審査項目(一例)

  • スペシャリティとして是非リピートしたい商品であるか
  • 料理の第一印象(見た目・全体感・ネーミング等)は良いか
  • 全体的な味付けは良く印象に残るものであるか
  • 料理の提供(盛付け・演出・仕上げ等)に印象的な工夫があるか
  • 調理人としての姿勢、調理技術、全体的な料理の完成度は良いか

会場

アートホテル日暮里ラングウッド
  • アートホテル日暮里 ラングウッド
  • 〒116-0014 東京都荒川区東日暮里5-50-5
  • TEL 03-3803-1234
  • 東京の下町情緒溢れる、荒川区・日暮里。どこか懐かしくてあたたかい雰囲気が根付いたこの街に、アートホテル日暮里 ラングウッドはあります。JR「日暮里」駅から徒歩1分。上野までは電車で約4分、新宿・東京まで20分圏内と、移動にも便利な好ロケーションです。

 ⇒ アートホテル日暮里 ラングウッド


最終審査に続く ⇒

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6